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こんな時どうすれば!?賃金支払いのルール

こんな時どうすれば!?賃金支払いのルール

目次

  1. トラブルになりがちな「金銭」
  2. これは労働に値するの?
  3. 罰金?減額?労働者側で問題があった場合は……
  4. 予想外!急に休まざるを得ない、こんな時は
  5. 鉄則!賃金支払い5つのルール
  6. まとめ

トラブルになりがちな「金銭」

こちらのコラムでも度々書いていますが、雇用主と労働者の間でトラブルになりがちな「金銭に関する問題」。
今回は、「こんな時賃金はどうすればいいのか」と悩みがちなケースに対する賃金支払いのルールをいくつかご紹介します。

これは労働に値するの?

■入社前研修や教育訓練中の賃金

雇用主が内定者に対し、雇用契約の範囲内で実際に業務・技能を習得する教育訓練を行う場合、内定者は受講せざるを得ません。
つまり、教育訓練を受けることも労働に従事すべき義務の一環で、研修内容が業務・仕事に関連し義務付けられている場合は、労働に従事したものとして賃金を支払わなければなりません。
入社前研修の賃金については賃金を日割りにする、その間はアルバイト採用として賃金を支払う企業が多いようです。

■試用期間や研修期間

試用期間や研修期間を設けて、期間中の賃金を定める場合、最低賃金以上であれば、特に法律上の明確な規制はありません。※試用期間、研修期間中も最低賃金を下回る給与は認められません。
しかし、試用期間中だからといって他の従業員とあまりにも差をつけるのは好ましくありませんので、常識的な範囲内で設定しましょう。
また、試用期間中の賃金が本採用時と変わる場合は、必ず求人広告にその金額、そして期間の表記が必要です。(例)試用期間2ヶ月は時給マイナス30円、等。
「面接時に話すから」「契約の際にちゃんと説明する」は絶対にNG。応募者からすると寝耳に水。読者クレームにもつながる恐れがあります。

■インターンシップの賃金

インターンシップの実習が見学や体験的なもの、なおかつ雇用主からの指揮命令を受けていない場合は労働者とは認められず、賃金支払いは発生しません。
しかし、直接生産活動に従事させ事業場と学生の間に使用従属関係が認められる場合は労働者として賃金の支払いが必要になります。
※使用従属関係が成立するかの判断基準は下記厚生労働省のURLよりご確認ください。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001juuf-att/2r9852000001jx2y.pdf

罰金?減額?労働者側で問題があった場合は……

■連絡がつかない場合

勝手に辞める、連絡もなく急に出社しなくなった……
このような場合、振込先がわかっている場合は給料日に「辞めるまでに働いた分の賃金」を振り込むことが必須です。
給与が手渡しで、振込先がわからない、という場合は、本人が給与を取りに来た際に支払えるよう、準備しておかなければいけません。
賃金支払いの時効(賃金の請求権)は労働基準法第115条において「2年」と定められています。
つまり、この期間内に本人が給料を取りに来た場合はたとえ連絡がつかなくなって間が空いていようと支払う義務があります。
なお、退職金支払いの時効は「5年」で給与支払いの時効と差がありますので注意しておきましょう。

予想外!急に休まざるを得ない、こんな時は

■裁判員に選ばれた社員の賃金

労働基準法第7条において「裁判員」は「公の職務」と定められています。雇用主は、労働者から要求があれば、そのための時間を与えなければなりません。その時間の賃金を有給とするか無給とするかは裁判員に選ばれた当時者にゆだねられています。
そのため労働者が裁判員として働く日(時間)に有給休暇を取りたい、と申請した場合拒否することはできません。
裁判員には日当が支払われますが、それを理由に有給を取得した日の賃金を減額する、カットするといったことももちろんNGです。

■インフルエンザの可能性がある人を休ませたときの賃金

例えば、社内でインフルエンザが流行っている場合会社としてまだ感染していない社員へも一斉帰宅を促すことができます。この場合、感染という事実が無いにも関わらず就業させないことになるので、基準法26条「使用者の責に帰べき事由による休業」に該当します。
その際、平均賃金6割以上の休業手当を支払う必要があります。会社からそのような指示を出しておらず労働者側から「インフルエンザかもしれないので休ませてほしい」と要求してきた場合は通常の欠勤扱いで構いません。
また、インフルエンザに感染した労働者が医師の診断書や指導をもとに欠勤する場合は、休業手当を支払う必要がありません。

鉄則!賃金支払い5つのルール

■通貨払いの原則

賃金は通貨で支払わなければなりません。現物や小切手などでの支払いは通貨払いの原則に違反することになります。ただし、労働組合との労働協約による取り決めがあれば、例外的に現物支給を良しとする場合もあります。
また、ここでいう「通貨」は日本国内で強制通用するものです。ゆえに、ドルやユーロなどの外貨で支払うことは原則違反とされます。

■直接払いの原則

賃金は直接労働者に支払わなければなりません。使用者と労働者の間に介在する仲介者などに支払うことは原則できません。(中間搾取などを防ぐため)

■全額払いの原則

賃金は原則全額を支払わなければなりません。ただし、税金や社会保険料など法令で定められたものや組合費や積立金といった労使協定で定めるものは、例外的に控除することが可能です。

■毎月払いの原則

賃金は毎月1回以上支払わなければなりません。賃金支払いの間隔が長いことで労働者の生活が不安定になってしまうことを防ぐためです。

■一定期日払いの原則

賃金は一定の期日を定めた上での支払いが必要です。賃金支払いが不定期になることで労働者の生活が不安定になることを防ぐためです。
これは「毎月25日」というように日程が固定されていなければならず、「毎月第4金曜日」のように月によって支払日が変動する定め方はできません。

まとめ

いかがでしたか?
イレギュラーな場合でも、よくわからないからといって放置してしまうと、大きなトラブルになる可能性がある給与支払いの問題。不明点があればすぐに確認し、迅速に対応することが求められます。
とくに研修期間や、待機時間などを「仕事ではないから給与を出さない」としてしまうことは法律違反。現状、このような問題がある場合はすぐに見直しを図りましょう。

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