人材関連コラム
2026年07月17日

目次
求人広告とは、企業が自社の求人情報を特定のメディアに掲載し、不特定多数の求職者に対して自社への応募を促す有料または無料の広告活動のことです。
現代の求人広告は、大きく分けて「掲載型」と「運用型」の2つの仕組みに分類されます。まず理解すべきは、この2つの違いです。なぜなら、社長が言う「安くて良い」を実現するためには、これらを戦略的に組み合わせる必要があるからです。求人広告の全種類と特徴を徹底解説することで、自社に最適な手法が見えてきます。
◆比較表: 掲載型求人広告 vs 運用型求人広告
| 比較項目 | 掲載型(バイトル・doda等) | 運用型(Indeed・求人ボックス等) |
|---|---|---|
| 課金形態 | 掲載期間に対する固定料金 | クリック数や応募数に応じた従量課金 |
| 掲載期間 | 2週間〜4週間が一般的 | 予算が続く限り無期限 |
| 露出の仕組み | 掲載順位がプラン(価格)で決まる | 予算と原稿の「マッチ度」で決まる |
| 運用の手間 | 掲載後は基本的に待つだけ | 原稿の改善や予算調整が可能 |
| 向いている企業 | 短期間で大量に集めたい企業 | 継続的に、安く採用したい中小企業 |
ここまでは求人広告の基礎的な定義です。しかし、実務においては「どの媒体に載せるか」の前に、今の労働市場がいかに過酷かを知っておかなければなりません。
「広告を出せば、誰かしら応募してくるだろう」という考えは、今の時代では非常に危険です。厚生労働省が発表している「一般職業紹介状況」によれば、2026年現在の有効求人倍率は1.2〜1.3倍程度で推移しています。これは、求職者1人に対して1.2社以上の求人がある「超・売り手市場」であることを意味します。
特に中小企業の場合、知名度や資本力で勝る大手企業と同じ土俵(大手総合媒体の通常枠など)で戦うと、自社の求人広告はあっという間に下位に埋もれてしまいます。採用担当者が「安さ」だけで媒体を選び、漫然と掲載するだけでは、応募ゼロという「空振り」に終わるリスクが極めて高いのです。
●ワンポイント!
社長世代の『昔はこれで採れた』という感覚は、現在の労働市場では通用しません。現在は職業安定法の改正により、求人票に記載すべき労働条件の明示ルールも厳格化されています。不正確な情報や魅力のない条件で広告を出すことは、応募が来ないだけでなく、法的トラブルや企業ブランドの毀損を招くリスクがあることを、担当者として認識しておくべきです。
社長から「安くて良い媒体」を求められた際、採用担当者が使うべき魔法の言葉があります。それが「CPH(Cost Per Hire:採用単価)」です。
社長が気にしているのは「掲載費」という目先の出費ですが、経営者として本当に見るべきは「1人を採用するのに最終的にいくらかかったか」というトータルコストです。
●CPH(採用単価)の計算式
CPH = 総採用コスト(広告費 + 運用工数 + 紹介手数料等) ÷ 採用人数
例えば、以下の2つのパターンを比較してみましょう。
パターンA:
掲載費が安い媒体(10万円)に掲載したが、応募0人で採用も0人。
結果: 10万円の損失。CPHは算出不能(無限大)。
パターンB:
掲載費は高い媒体(50万円)だが、2人採用できた。
結果: CPHは25万円。
社長に対しては、「掲載費が10万円の媒体を探す」のではなく、「CPHを25万円に抑えられる媒体を選ぶ」というロジックで提案を行うのです。
では、具体的にどのような媒体を組み合わせれば良いのでしょうか。採用担当者は会社の予算規模に合わせて、3つのポートフォリオ案を提示します。
1.予算0円:ハローワーク × ATS × Indeed無料枠
予算が全くない場合でも、諦める必要はありません。
手法: 「engage(エンゲージ)」や「Airワーク 採用管理」などの無料ATS(採用管理システム)を利用します。
仕組み: これらのツールに求人情報を登録すると、自動的にIndeed、求人ボックス、Googleしごと検索などの「求人検索エンジン」の無料枠に掲載されます。
注意点: 無料枠は新着順で埋もれやすいため、週に一度は原稿を更新するなどの「運用工数」が必要です。
2.予算10万円:Indeed/求人ボックスの少額運用 + 特化型媒体
「安くて良い」を最も体現できるのが予算10万円のプランです。
手法: 予算の7割をIndeedなどの運用型広告の有料枠に充て、残りの3割で特定の職種に強い「特化型媒体(例:施工管理なら〇〇など)」の安価なプランを併用します。
メリット: 運用型広告はクリックされた分しか費用が発生しないため、無駄がありません。
3.予算30万円以上:総合媒体のキャンペーン活用 + リマーケティング
ある程度の予算があるなら、攻めの姿勢が取れます。
手法: マイナビやdodaなどの大手総合媒体が実施している「中小企業応援キャンペーン」などを活用して掲載。同時に、自社採用サイトに訪れた人に再度広告を出す「リマーケティング広告」を運用します。
●ワンポイント!
『無料枠』は確かに掲載費は0円ですが、担当者は『工数』という人件費が発生していることを忘れないでください。毎日原稿を書き直して3時間使うなら、それは実質的なコストです。社長には『私の工数を削減するために月3万円だけIndeedの有料枠を使わせてください。その方がトータルでは安上がりです』と交渉するのも一つの手です。
媒体を最終決定する前に、以下の5項目を必ずチェックしてください。これを怠ると、せっかくの予算が水の泡になります。
1.ターゲット含有率
その媒体の読者層に、自社が求めるターゲット(年齢・職種・地域)は本当に含まれているか?(媒体資料に記載されている職種別ユーザー比率や居住地データが、自社の募集要項と合致しているかを確認する)
2.競合の掲載状況
同じ媒体に、自社より好条件の大手企業が並んでいないか?(並んでいるなら、別のニッチな媒体を検討する)
3.運用工数の確保
掲載後、応募者への対応や原稿の修正を誰がいつやるのか、体制は整っているか?
4.過去の採用単価実績
その媒体を使って、同業他社がどの程度のCPHで採用できているか?(代理店の担当者に「ぶっちゃけ」を聞き出す)
5.法的リスクの確認
給与表記や休日設定が、最新の労働基準法や職業安定法に抵触していないか?
媒体が決まったら、次は応募が殺到する求人票の書き方を実践し、中身を磨き上げましょう。
A: 媒体によりますが、掲載型なら2週間で20万円〜、運用型なら月額5万円〜が相場です。ただし、重要なのは費用ではなく「採用1人あたりの単価(CPH)」です。
A: 直接Indeedに投稿するか、「engage」や「Airワーク」などのATSを経由して連携させる方法があります。ATSを経由して連携させる方法の方が、複数の検索エンジンに一括掲載されるため効率的です。
A: 一般的には求人広告の方が安く済みます。人材紹介は年収の30〜35%が相場(年収400万なら120万〜)のため、広告でCPHを50万以下に抑えられれば広告の勝利です。
採用担当者の「次の一歩」
社長からの「安くて良い媒体を」という言葉に、もう怯える必要はありません。
●掲載費ではなく「採用単価(CPH)」で考える。
●無料ATS × Indeedで低コストな土台を作る。
●予算を「運用」して、大手に埋もれない露出を確保する。
まずは、無料のATS(engageやAirワークなど)に登録し、自社の求人が世の中にどう見えているかを確認することから始めてみてください。それが、「プロの採用担当」として社長に認められるための、確実な第一歩になります。
求人広告の「安物買い」を卒業し、確かな「採用戦略」へ
求人媒体の選定を「掲載費」から「採用単価(CPH)」へと切り替えることは、単なるコスト削減ではありません。それは、場当たり的な募集から脱却し、データと根拠に基づいた「組織全体で勝つ採用」への転換です。
本記事で提示した基準に基づき、まずは自社の現状を整理するという具体的な一歩を今日、踏み出してみてはいかがでしょうか。
とはいえ、無数にある媒体の中から、自社の業種や地域に最適な「比較軸」を一人で判断するのは非常に難しいものです。
私たちヒューマンワークは、取引社数79,127社(2024年6月末現在)の支援実績をもとに、貴社の予算と目標に合わせた「最適ポートフォリオ」の設計をサポートします。 「うちの場合、どの媒体を組み合わせるのが正解?」 「社長を納得させるための、具体的なシミュレーションが欲しい」
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参考文献
厚生労働省「一般職業紹介状況(令和6年1月分)について」
リクルートワークス研究所「中途採用実態調査(2023年度)」
マイナビ「中途採用状況調査2023年版」
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