人材関連コラム
2026年06月24日

目次
2026年の採用現場において、採用コストを昨年並みに抑えることが困難な状況が続いています。
ここでは、コスト高騰の要因となっている「深刻な人手不足」と、採用手法が求人メディアから自社採用へシフトしたことによる「コスト構造の変化」の2点について、具体的な数値と背景を解説します。
日本の労働市場は、高水準の「売り手市場」にあります。
有効求人倍率が高水準で推移している影響で、1人の候補者を複数の企業が奪い合う事態が常態化しています。
こうした労働市場の需給バランスの崩壊が、採用単価を押し上げる直接的な要因となっています。
従来の「求人広告を出して待つ」手法が限界を迎え、SNSやスカウトを活用した自社採用(ダイレクト採用)へのシフトが進んでいます。
こうした構造転換は外部への支払額を抑える一方で、人事担当者の「内部人件費」という見えにくいコストを増大させる結果を招いています。
経営層を納得させるには、客観的なベンチマークとの比較が欠かせません。
2024年から2025年にかけての最新データに基づき、新卒・中途それぞれの平均相場と、業界ごとに異なるコストの基準値を確認しましょう。
最新の調査データによると、中途採用の平均単価は年間600万円を超え、新卒採用も上昇傾向にあります。
以下の表に、社内報告書の根拠資料として活用できる主要な指標をまとめました。
年間平均採用コスト(2024年度実績)
| 採用区分 | 2024年度実績 |
|---|---|
| 中途採用(全体) | 約650.6万円 |
| 新卒採用(全体) | 約287.6万円 |
出典:マイナビ「中途採用状況調査 2024年版」、マイナビ「2024年卒 企業新卒内定状況調査」
採用単価は業界や職種の専門性によって数倍の開きが出ます。
特にITエンジニアや建設職種などは、平均値を大きく上回るコストがかかるのが現在の市場の常識です。
| 業界・職種 | 高騰の傾向と背景 |
|---|---|
| IT・エンジニア | 紹介料率が高騰する傾向にあり、ダイレクト採用の検討が必要。 |
| 医療・介護 | 有資格者の不足が深刻。定着率向上による採用抑制が鍵。 |
| 飲食・小売 | 求人広告の獲得単価が上昇中。SNS活用が有効。 |
| 建設・不動産 | 若手不足により年収条件が上昇。リファラル採用も重要。 |
※採用単価は業界・職種・採用手法・地域などにより大きく異なります。自社の状況に合わせて試算してください。
経営陣からの「コストを下げろ」という要求に対し、単なる削減で応じるのは得策ではありません。
ここでは、採用の遅れが招く「機会損失」の可視化と、中長期的な「エージェント依存からの脱却」を提案するロジックを解説します。
採用を渋って欠員状態が続くことによる損失は、採用単価を大きく上回る場合があります。
この損失を数値化して提示することで、経営陣の議論を「費用の抑制」から「事業利益の確保」へと転換できます。
人材紹介会社に頼り切りでは、採用ノウハウが社内に蓄積されません。
短期間での削減は困難ですが、3年程度のスパンで「自社採用比率」を高めるロードマップを提示すると経営層の理解を得やすくなります。
コストを削減するには、単に広告を止めるのではなく、運用効率を上げることが求められます。
特に「自社採用サイトの活用」による外部コストの削減と、人手不足を補う「RPO(採用代行)」の活用について、具体的な手順を見ていきましょう。
求人サイトを通さず、自社サイトやSNSで直接集客する「オウンドメディアリクルーティング」は、採用単価を下げる最も有力な方法です。
ただし、スカウトなどの実務工数が増えるため、計画的な工数管理が求められます。
人事担当者の工数が足りない場合、RPO(採用代行)を活用する方が、人材紹介を利用するよりも結果的に安く済むケースが増えています。
人事の工数負荷というボトルネックを解消し、ダイレクト採用を成功させるための補完関係を構築しましょう。
| 比較項目 | 人材紹介会社(エージェント) | RPO活用 + 自社採用 |
|---|---|---|
| コスト構造 | 成果報酬型(料率は契約により異なる) | RPO委託費(定額)+広告費 |
| 特徴 | 採用成功時に紹介料が発生 | 外部への総支払額を抑えられる場合がある |
| メリット | 手間がかからない | 自社に採用ノウハウが蓄積される |
RPOを活用することで、高額な紹介手数料を支払うことなく、安定した採用数を確保できる体制が整います。
2025年の採用市場において、コストの議論は「いかに安く採るか」から「いかに効率よく投資するか」へと変化しています。
安さを追求するあまり、事業成長に必要な人材を獲得できなければ、それは経営上の大きな損失となります。
貴方が経営陣に示すべきは、単なる削減案ではなく、「事業を成長させる人材を、適切な価格で確実に獲得する投資戦略」です。
自社だけでこの複雑な課題を解決しようとすると、検証に時間がかかり、その間も紹介手数料という高額なコストが発生し続けてしまいます。
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