人材関連コラム
2026年07月02日

目次
求人票に「35歳以下」といった年齢制限を記載して窓口で断られる背景には、法律による「原則禁止」のルールがあります。まずは、なぜ制限が厳しいのか、そして多くの担当者が陥る「不受理の落とし穴」について解説します。
雇用対策法第10条では、労働者の募集および採用において、年齢に関わりなく均等な機会を与えなければならないと定められています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象となる雇用形態 | 正社員、契約社員、アルバイト、パート等すべて |
| 禁止される行為 | 年齢を理由に応募を断る、書類選考で落とす、面接で不利に扱う |
| 法律の目的 | 個人の能力や適性に基づいた公平な採用機会の確保 |
雇用対策法は、年齢による差別をなくすことを目的としており、自社サイトの採用ページであってもこのルールは適用されます。
ハローワークの窓口で求人が受理されない最大の原因は、年齢制限を設ける「理由」が主観的、あるいは差別的だと判断されることにあります。
NG例1: 「体力が求められる仕事だから」
NG例2: 「現場の平均年齢を下げたいから」
NG例3: 「長期勤続してほしいから(具体的な根拠なし)」
これらの理由は、雇用対策法の例外として認められていません。受理されるためには、厚生労働省が定める「例外事由」のいずれかに合致し、かつ適切な文言で記載する必要があります。
製造業などで「未経験の若手を一から育てて技能を継承したい」という場合、活用すべき制度「例外事由3号のイ」です。この特例の仕組みと、適用するための必須条件を整理します。
「例外事由3号のイ」は、若年層を期間の定めのない正社員として採用し、長期的に育成することを目的とした場合にのみ認められる特例です。
目的: 職業経験のない若者に就業機会を与え、社内でキャリアを積ませる。
メリット: 法的に認められた形で「〇歳以下」という制限を明記できる。
対象: 技能継承や組織の若返りが必要な企業。
この特例は「育成」を前提としているため、単なる労働力の確保ではなく、教育体制が整っていることが暗黙の了解となります。
例外事由3号イを適用し、ハローワークの審査をパスするためには、以下の3つの条件をすべて満たす必要があります。
1.無期労働契約(正社員)での募集であること
期間の定めがある契約社員やアルバイト募集には適用できません。
2.職務経験不問(未経験歓迎)であること
例えば、「経験◯年以上必須」や「即戦力限定」のような条件を付けると、育成目的と矛盾すると判断されかねません。必ずしも「未経験者のみ」に限定する必要はありませんが、長期的な育成を目的としていることが重要です。
3.適切な年齢制限の理由を記載すること
独自の理由(例:体力がいるため)ではなく、法に定められた定型文を用いることが、受理されるための最も確実な方法です。
こでは、実務ですぐに使える求人票のテンプレートを紹介します。2024年4月の法改正による新ルールにも対応した、最新の記載方法です。
2024年4月より、求人票には「就業場所・業務の変更の範囲」の記載が義務化されました。年齢制限を設ける際も、この最新フォーマットへの対応が必須です。
変更点: 将来的な配置転換や転勤の可能性がある範囲を明示しなければならない。
影響: 記載がない場合、ハローワークでの受理が遅れる、あるいは求人媒体の掲載が止まるリスクがあります。
ハローワークの審査を一発で通過するための、具体的な記載例です。
比較表: (製造業の場合)
| 項目 | 記載内容(テンプレート) | ポイント |
|---|---|---|
| 年齢制限の理由 | 長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者等を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用するため(例外事由3号のイ) | 一字一句変えずに記載してください。 |
| 年齢制限の範囲 | 35歳以下(または40歳以下など) | 定年年齢(通常60歳)未満である必要があります。 |
| 職務経験 | 不問(未経験者歓迎) | 「3号のイ」を使う場合は必須の条件です。 |
| 【2024新設】業務の変更範囲 | (例)生産管理、品質管理、および将来的な現場リーダー業務への変更の可能性あり | 将来的な配置転換の可能性を明示する必要があります。 |
注意点: 現場から「経験者が欲しい」と言われていても、「3号のイ」を使う以上は「職務経験不問または育成を前提とした条件」とすることが望ましいでしょう。もしどうしても経験者が欲しい場合は、年齢制限を外すか、別の例外事由(3号のロ)*を検討する必要がありますが、若手採用においては、この「3号のイ」で間口を広げるのが最も成功率が高い戦略です。
*例外事由3号のロ…技能・ノウハウの継承の観点から、特定の職種において労働 者数が相当程度少ない特定の年齢層に限定し、かつ、 期間 の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合
最後に、実務の現場でよく起こるトラブルや、判断に迷うポイントについてQ&A形式でまとめました。
テンプレート通りに書いても、窓口担当者から「もっと具体的に」と言われることがあります。
回答のポイント: 「独自の理由(体力など)」を付け加えるのではなく、「厚生労働省の指針に基づき、長期的な育成を前提とした無期雇用募集であること」を強調してください。
切り返し例: 「弊社の技能継承を担う若手層が不足しており、例外事由3号のイに基づき、未経験からじっくり育てていく計画です」と伝えるとスムーズです。
年齢制限の上限設定や、媒体ごとのルールの違いについて解説します。
定年との関係: 年齢制限の上限は、原則として定年年齢(60歳など)未満である必要があります。
自社サイトでの注意: 「ハローワークじゃないから大丈夫」と、理由なく年齢制限を書くのは違法です。必ず例外事由を併記してください。
SNSでの発信: 「若手求む!」といったカジュアルな表現も、採用選考の基準として年齢を設ける場合は、法的な配慮が必要です。
年齢制限の原則禁止は、「長期的な育成とキャリア形成を前提とする場合に、例外的に若年者を募集可能とする」という趣旨であり、企業に対し若年者雇用の機会提供を促すものです。
1.雇用対策法第10条(原則禁止)を理解する。
2.例外事由3号のイ(長期キャリア形成)を正しく適用する。
3.「無期雇用」「経験不問」のセットで、2024年最新ルールに対応する。
この3ステップを守れば、あなたはハローワークの窓口での手続きを円滑に進めることができるはずです。
とはいえ、求人票の書き方一つで、集まる人材の質は劇的に変わります。また、2024年の法改正は多岐にわたり、自社だけで完璧に対応し続けるのは時間もコストもかかります。
「法改正に対応できているか不安だ」「年齢制限をかけつつ、もっと応募を増やす工夫が知りたい」という方は、ぜひ一度、私たちヒューマンワークにご相談ください。累計1万件の改善実績を持つプロが、御社専用の「一発受理、かつ応募が来る」求人戦略を無料でアドバイスいたします。
参考文献
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