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最初が肝心。入社後の定着に全力を注ぐため必要なコト

最初が肝心。入社後の定着に全力を注ぐため必要なコト

目次

  1. 採用者に滞りなく業務を始めてもらうために
  2. 【POINT1】期限内に社会保険の届け出手続きを
  3. 【POINT2】採用者の個人情報の扱いにも注意!
  4. 【POINT3】早期退職を予防する賠償などの約束はNG
  5. 【参考1】法律による損害賠償予定の禁止
  6. 【参考2】数日で来なくなった人の賃金
  7. まとめ

採用者に滞りなく業務を始めてもらうために

面接を経て一緒に働く人が決まったら、次は採用者が初日から滞りなく業務を始められるようにしっかりと態勢を整えましょう。
その際社員証やタイムカード、デスクや制服、道具類の支給といったことの他に、特に留意しておきたいのが社会保険関係の手続きです。試用期間の有無に関係なく、すみやかに届け出手続きを行いましょう。

【POINT1】期限内に社会保険の届け出手続きを

労災保険を除き、社会保険は期限内に届け出る義務があります。そのため、採用した人にはどんな保険を適用すべきかを確認する必要があります。
採用者が保険適用の対象者であれば、試用期間であっても初日から保険の適用を受けることになりますので、すみやかに手続きを行うことが重要です。

【POINT2】採用者の個人情報の扱いにも注意!

意外とやってしまいがちですが、たとえ社内的な“新入紹介”の目的でも採用者の居住地や年齢などの個人情報を軽率に広報することは慎みましょう。当たり前のことですが、履歴書のコピーを社内掲示したり、職場に回覧するといったことは絶対にしてはいけません。
悪気がなくても重大な個人情報の漏洩となり、後々トラブルに発展する可能性もあります。

【POINT3】早期退職を予防する賠償などの約束はNG

「時間とお金をかけてせっかく採用したのにすぐ辞められては困る…」という考えは分かりますが、『労働者が早期退職した場合の、損害賠償や違約金を請求する約束』を交わすことは一切できません。
認められているのは、労働者の「雇用契約の解約」の自由を不当に制限しない、合理的な理由による退職手続きの要件のみです。
これにより、たとえば就業規則などに「希望退職の場合は退職日の1ヵ月前に申し出る」(民法では、2週間前に申し出ればよい)などの規定を設けることはできます。

【参考1】法律による損害賠償予定の禁止

あらかじめ違約金を設定できない

労働基準法第16条では、「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、または損害賠償額を予定する契約をしてはならない」としています。
これは損害賠償責任を負わせることで労働者の自由な職業選択の意思を拘束したり、労働の強制につながることを防ぐ趣旨で設けられたものです。
どのような名目でも、労働者の損害賠償を予定するような約束をすると、この法律に抵触することになりますので注意してください。

早期退職の理由を検証する

せっかく採用した人が早期退職するのは、会社としては大きな損害。しかし、労働者のほうでも、そうした思いを抱いているかもしれません。早期退職に至った理由がどこにあるのかを検証して、改める点がないかどうかもチェックすることが大切です。
また、働く気のない人をムリに引き止めて雇い続けることは、より大きな損害につながると考える視点も必要と言えるでしょう。

【参考2】数日で来なくなった人の賃金

労働の対価として賃金の支払い義務がある

数日間出社しただけで何も言わずに来なくなってしまった……。そんな労働者の話も耳にします。それでも、その人を数日間労働者として雇った使用者は、労働の対価である賃金の支払い義務があります。
勤務が14日を超している場合の義務については、下記のコラムをご覧ください。
スムーズに働くために!知っておきたい「試用期間」の基本
この際、あらかじめ就業規則に無断欠勤などのペナルティ規定があれば、それを適用することは可能です(ただし、このペナルティにも労働基準法第91条の規定があり、無制限には設定できません)

2年間はいつでも支払えるように準備を!

賃金の支払いの時効は2年とされています(労働基準法第115条)
もし、振り込み先がわかっていれば給料日に振り込みを行いますが、それ以外のケースであれば、2年間は本人がいつ来ても支払えるように準備しておく必要があります。
なお、使用者には賃金台帳などを作成して3年間保存する義務があります(労働基準法第108 条、109 条)

まとめ

いかがでしたか?
企業側の義務とはいえ、やるべきことをこうして列挙されると疲れてしまうかもしれません。けれどこうした当たり前の積み重ねが、社員を会社に定着してもらうために必要なことです。
社員が「この会社でずっと働きたい!」と心から思えるように態勢をしっかりと整え、労働者と企業、双方が尊重することで会社を強くさせていきましょう!

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